夢の細道

夢日記

黒人の女

私は黒人の女になっていた。黒人の彼といっしょに海に入って泳いだ。よく晴れた日だ。気持よく泳ぎながら、私は鳥になりたい、と言った。そして自分の曲を口ずさみながら泳いだ。ラーラーラーと緩やかに波のように歌った。彼は私に作曲の才能があることを理解したようだった。

場末の映画館

場末の小さな映画館の窓口で若い女の館員から入場券を買って、中に入った。入場券は電車の切符のようだった。私は入場券を手にしながら、しばらく窓口の前でもじもじしていて、ふいに切符を買ったことに気付いて中に入った。映画は、小さな謎の物体が徐々に大きくなっていって地球を困らしていくといった内容だった。そいつは木の根っこのような、ヒトデとナマコを合体させたような形でうごめいていた。映画を観る前に小便をしたくなってトイレを捜した。トイレ🚻マークのドアを開けると、そこは休憩室のようになっていて数人の男たちが粗末なテーブルにくつろいでいた。さらに奥にトイレのドアが見えた。ドアの手前の空席にカバンを置いてトイレの中に入ったら小さなブルドックが着いてきた。白と黒のブチでツルツル肌の子犬だ。飼い主が心配するだろうからとドアを開けてブルをトイレの外に出した。用を済ましてトイレを出ると、テーブルの上に置いていたカバンがなくなっていた。席にはこわおもての若いアンチャンが座っていた。ここに置いてたカバン知りませんかと弱腰になって聞いてみた。そんなもんなかったよとアンチャンが言った。アンチャンが来る前に誰かに盗まれたのだ。カバンの中には大したものはないものの、なにかしらいつも書き付けていた日記のようなノートが入っていたらしい。私は困って途方に暮れてしまった。

たたき売り #90

 また暇になってきた。

 マリウポリが陥落した。

 道端でたたき売りのバイトをしている。寅さん映画の見すぎだろうか。隣に同僚のおっさんがいて同じような商売をしている。今日も売上は芳しくない。夕方、私は店をたたんで、帰り際に、隣のおっさんが哀れになって、千円札をあげた。内心、五百円にしておけばよかったと後悔した。おっさんは、案の定、いらない、と千円札をかえしてよこした。私は内心ホッとした。おっさんは、一日で三千万円儲けたことがある、と言った。えっ、そいつは意外だ。ナニ売ったんですか、と聞いてみた。電化製品だろうか。答えを聞かないうちに夢は終わった。

 会社の帰り道、知らない女が話しかけてきた。美人でないし貧相な感じだが、一緒に歩いているうちに、手に触れ、握ってしまうと、女は拒否しない。だんだん大胆になって、肩に手を回したり、脇の下から手を入れて乳首を揉んだりした。それで駅近くのホテルに入ろうということになった。女は素足に下駄履きで、途中、転びそうになったが怪我はなかった。足の内部が少し悪いらしい。めぼしいホテルを探し当て建物の中に入ると、いくら持っているかと私に聞いた。一万二千円と答えた。女は足りない分のお金を持ってくると言って階段を駆け上がって行った。フロントで待っていると、胡散臭い連中に絡まれそうになったが、胡散臭さでは私は彼らに劣るものではなかった。女はなかなか戻ってこない。帰りは遅くなりそうで、妻にはなんと言い訳しよう。そのうち、女にすっぽかされたことに気づいて帰ることにした。

 老練なベテラン釣り師に同行した。モーター付きの小舟で沖に出てエンジンを止め、老人は海原に餌を撒いた。その餌を求めてクエが海底から浮上してきて、鯉が餌を食べるみたいに口をパクパクさせた。老釣り師は、そのクエの口にいとも簡単に手に持った大きな釣り針を引っかけて大きなクエを釣り上げていった。手首のヒネリ方にコツがあるらしい。あっという間に七匹も釣り上げてしまった。深場にいるクエが面白いように集まってくる強力な餌だ。今晩はクエ鍋で酒が飲める。この釣りに関して、何故か、全米釣り協会が
苦情を表明しているという。

VR釣り② #89

その日はカヌーを漕いでワカサギを釣った。森に囲まれた小さな湖だった。真冬でも所々薄氷が張るくらいで、完全な結氷はなかった。所々、薄氷をオールで叩き割って前進した。
ちっちゃなウジ虫を五本針に付けて湖の底へと落とす。着底したら少し糸を巻いて竿を小刻みに振ってやると、極細の竿先がブルブル震えて、糸を巻くと2,3匹ワカサギがくっついてくる。釣れなくなるとカヌーを漕いで場所を移動する。寒気が体を締め付けるが楽しい。😃💕食べられる量を釣ったら終了だ。森の中の家に持ち帰り、唐揚げにして食べる。お酒🍶を熱めにして、湖のワカサギを味わう。

巨大なモスクでコーランの祈りを捧げた後、私達は長い陸橋を仲間達と歩いていた。陸橋は中心街へと通じている。白くて長い服を着流してイスラム風の丸い帽子をかぶったりターバンを巻き付けた男達とぞろぞろ帰途についていた。ホダー(神)よ、ホダー、どうしてこの人生は悲哀ばかりがウチ続く?その時、陸橋を歩く一団にどよめきが起こる。私の隣を歩く老師が、誰かが悪の聖水を撒き始めたと言った。大変だ、テロだ、汚らわしい悪の聖水。辺りはパニックになりそうな不穏な動き。すでに駆け出して逃げようとする人々。私達も陸橋脇の非常階段を降り始める。悪の聖水は硫酸のように人体を焦がしてしまう。ホダーよ、ホダー、どうしてこの世は?

海外の海賊番組で、ボレロ風バンドでジョニーアルフの名曲「そよ風と私」を演奏するという情報を得て、そのチャンネルを傍受した。四人編成のバンドでボーカルは男性だった。スペイン語で意味は分からないが、リズムはハイセンスだった。「そよ風と私」はなかなか演奏してくれなかった。歌を聞いているとスペイン語を話す中南米の髭面の男が話しかけてきた。男はベラスケスと名乗った。ベラと呼ぶことにした。私はスペイン語は分からないこと、ポルトガル語は少し話せること、「そよ風と私」は大好きな曲であるということなどを話した。ベラと私は意気投合し、ブラジルの仲間を紹介しようと言ってくれた。かれこれ私はブラジルの友達が欲しいと思っていたので、ベラに礼を言った。ベラの仲間が5,6人かけつけて来た。中には太ったオバチャンや子供もいた。いつかそこは野外になっていた。ワイワイやっている内にスズメバチが男の子を刺し、辺りは騒然となった。男の子をすぐに私の家に運んで蒲団に寝かせた。救急車を呼んだ方がいいだろう。私は薬箱に消毒液を探すが、なかなか見つからない。ハチに刺された子供をベラが見守っている。ベラが病院や薬局にすぐに行かないのを不思議に思った。お金がないのだろうか。ベラの仲間達との下品な言葉遣いから、あまり素性のいい男ではないと思えた。こんな時でも卑猥な話で周りの仲間達と笑い合っている。

VRバーチャル釣り #88

食べ残しを買い取ってくれるパン屋があった。食べ残しのパンをどうやって再利用するのかは分からないが、その日、私は食べ残しのパンを持ってそのパン屋を訪れた。そのパン屋の店長らしい女性が私の持ち込んだ食べ残しのパンを子細に点検した。私はかわりに新しいパンを買ったが、レシートを見ると、買い取り額が120円で、購入額が678円となっていた。差額はどうするのだろうと思ったが、女の店長はサービス処理してくれたらしい。私は女店長に礼を言い、握手した。美人で活動的なイキのいい人だった。

魚を追いながら渓流を遡上し森の奥へと入って行った。渓流は木漏れ日に照らされた樹木の葉々と岩肌の美しい渓相を見せて激しく蛇行しながら私を上流へと誘い続ける。流れの緩い淵に川石の底にいる虫を釣針に引っ掛けて振り込むと、すかさず釣糸が張って予想外の方へ動き出し、ハッと合わせると、大きな魚体が水しぶきを上げて空中にライズする。釣竿が折れんばかりに弧を描き、釣糸がパァーンと切れる。フッーと溜息をついて次の新しい瀬に向かう。熊の危険な気配を感じる。熊よけスプレーや爆竹や切れ味のいいナタを持っていて、いつでも熊と格闘できると思っている。

右膝かぶのところに直径13センチほどの円形の皮膚病ができていて、一時は治りかけたものの、再び悪化してきて病院へ行った。クレーターのように周りが盛り上がっていて、チーズのタルト菓子のようだ。なんだろう、これ、困った、と医者が言った。飲み薬はあるけど強いからなあ、と医者。あまり薬は飲みたくないですね、と私が言った。円形の中央が黄色く膿んでいて、看護婦さんが私の前にかがんで、スプーンでジャムをすくうように膿を掻き出し始めた。ちょっとむず痒い。ウッ、ウウーム。

多摩川の釣り名人 #87

私は黒人人権運動家で牧師になっていた。たくさんの仲間が殺され続けた。私は演説中に民衆の前で殺された。自分の故郷の教会の庭で、遠くのビルの窓から狙撃された。オナカをぶち抜かれて演台から転げ落ちた。腹を押さえながら地面にうつ伏せになって死んだ。

テレビでニュースを見ていると、見たことのある女の人が現れた。三十代の主婦のタカナシさんだ。小岩のバス停から実況中継だ。ここで一年前に大惨事の事故が起きていた。タカナシさんはオレンジ色のワンピースに白の薄いカーディガンを羽織っていた。髪はショートとロングの中間タイプだ。タカナシさんは一年前の恐ろしい体験を語った。あの時、私はタカナシさんのすぐ後ろでバスを待っていた。そこへ停まるはずのバスがスピードを落とさず突っ込んできた。一瞬にして十数人が死傷した。タカナシさんは間一髪で怪我を免れ、私も呆然と立ち尽くしたものだった。

釣り名人が訪ねてきた。多摩川の釣り愛好会で作っている機関誌を見せてくれた。表紙には変わった魚の写真が載っていた。多摩川の有名な固有種で、ウナギ型で、タチウオとリュウグウノツカイのあいの子みたいな魚体。頭部に特徴があり、花のガーベラのようなヒダのある丸い頭に目と尖った口がついている。体色は薄茶褐色だ。名前は忘れた。ウィル君なら面白い絵が描けそうだ。
カアサンは私との口げんかで、どこかに引っ込んでいた。最近、私も多摩川に釣りに行っており、その時の写真を名人に見せようとした。川の風景だけで、名人は多摩川と言い当てて、さすがと思った。釣った小魚の写真を出そうとして画面がフリーズしてしまった。カアサンを呼んで、どうしたらいいか教えて下さいと、ご機嫌をとりがてら聞いてみた。画面左上のESCキーを押せば、とカアサンが言った。スマホがパソコンになっている。ESCキーを押したが変わらない。そうだ、夢だからダメなんだと気づいて夢をエスケープしたら、全部消えていた。