夢の細道

夢日記

ルンバ #84

会社に行くと、宛名印刷機がやりかけのままになっていた。続きをやってみた。広告用ハガキに住所を打ち込んでいるのだが、住所の位置がうまくハガキに収まらない。どうにもしっくりこないので、やめて外に出た。大通り沿いに妙な建物があった。古い西洋のお城のようだが巨大なラブホかもしれない。埼玉の都市らしい。街なかに入り込む。場末の居酒屋街だ。どこも繁盛していてツマミはどれもおいしそうだ。左側にカウンターだけの店がずっと続いている細道を歩き続けて、抜けられなくなっている。

中庭に面した出窓に二人の女の子が現れた。低学年の小学生だ。今日は図書館の休館日で、表玄関は閉じられていた。図書館内には私と館長の島尾氏だけがいた。空いた窓のすぐ外で女の子が本を見たいと言った。いいよ、と言うと、二人は窓から中に入ってきて、絵本の棚に駆け寄った。デスクの向こうで島尾館長がうつむいたまま身動きを止めていた。私は館長の了解もなく無断で二人を中に入れたことに気付いた。館長は花火の不発弾みたいにジット固まっている。女の子たちは楽しそうに絵本を開いている。年少の女の子がとても好きな館長が早く機嫌を直してくれることを願った。

畳の大広間で宴会。いろいろ飲んで、かなり酔っ払っている。適当に帰るつもりだったが、居座ってしまった。近くの身なりのキチンとした男が周りの連中にいろいろ聞き回っていた。私は、アンタはいったい何を聞きたいんだ、と聞き返した。週刊誌の記者らしかった。誰かが、黙っていたほうがいいこともある、と言った。そこへ音楽が鳴った。私は酔いにまかせて、ルンバと叫んだ。すると若い男がテーブルの上にのって踊りだした。時計を見てみると、もう夜中の二時半だった。マズイなあ、電車もないなあ、と思っていると、隣の女と背が触れあい、女が私にもたれかかってきたところで夢は消えた。

四国 クレウザ #83

彼は昨日までは意気消沈していたが、今日は朝からとても元気だ。何かいいことがあったかね、と聞くと、彼はポケットからスマホを取り出して、嬉しそうに彼女からのメールを私に見せた。「八月に四国へ一緒に旅行しない?」というものだった。おめでとう、と私が言った。先輩は四国へ行ったことありますか、と彼が言った。「うん、そうだね、小豆島に行ったことがあった。そこからフェリーで高松港へ行って庵治温泉に泊まった。そこから鉄道で海沿いを南下して徳島県の海部という所に一泊した。次は室戸岬だった。そこから足摺岬へ行った。そこから道後温泉に抜けて一泊し、フェリーで広島に戻ったことがあった。」

四谷の中南米音楽サークルの四人と大通りを歩いている。T子とF子とB君とN君。クレウザ好きのT子が、N君はタニアマリアが好きらしいけど、曲がワンパターンでいい加減にして欲しいと思うことがあると語った。F子はベッチカルバーリョだったかソニアサントスのファンだったか。こないだF子が私に女友達を紹介したいと言うので、三人で四谷のブラジリアンバー「サシペレレ」で会ったが、ミメウルワシクナイF子は自分より器量のいい女の子を私に紹介するはずはないのであった。
四人で四谷の大通りにある靴屋に寄った。バーデンパウエル好きのB君が黒の革靴を買うらしい。
マリア クレウザはヴィニシウス ジ モライスが死んでから、声が死んでしまった。不思議なことなのか、痛ましいことなのか。
古くてマニアックな話で申し訳ないが、モライスが亡くなったのは1980年、彼が66歳でクレウザは36歳だった。モライスはクレウザの声の源泉となっている心奥の核の部分を独り占めして、あの世に持ち去ったようなのだ。クレウザの古いレコードはほとんど廃盤で入手困難な状況であり、80年代以降のものは声が死んでいる。困ったものだ。唯一の望みはヤフオクで、歌詞カードの入った70年代の日本発売のものに限る😖💦最後の傑作「ポエマ」の日本発売は1981年だったかな。モライスの死が80年7月だから、ポエマの現地吹き込みは、その前の時期ではないかと思う。初めての方は「ONDE ANDA VOCE」とか「JANELAS AZUIS」「QUASE」なんかがいいんじゃないかな。「madrugada」もね。それに「eu e a brisa」。美女の普遍的特性を備えて、ひとりぼっちの淋しい男たちを、わけへだてなく平等に慰め憩わせくつろぎと潤いを与える救いの声音だったのだが。

新しい会社に入社した。社員百名くらいのデスクが並ぶ大部屋で、附近の人達と挨拶を交わした。斜め後ろに、こちらに向かって座っている女が知った人だったので驚いた。ボクを覚えているかい、と聞いてみた。知りません、とB孃が言った。ホラ###会社のマネージャーをしていたサトウさんだよと言うと、思い出してくれたようだった。そこで私はトイレに行った。B孃は以前の仲間たちに私と再会したことを伝えてくれるかもしれないと思いながら用を足していると、トイレにいた数人の男たちが慌ただしく出ていった。召集がかかったようだ。誰かが、いつでも召集に身構えてないとダメだと言った。私は、前もって予定を知らせてくれないと困ると思った。社内に戻ると、誰もいなくなっていた。外に出てみると、向こうから武装した連中がゾクゾクとやって来た。みんな自衛隊の訓練のように、ヘルメットをかぶり戦闘服を着て機関銃を持っている。会社の連中が召集されて着替えさせられたようだ。私はオイテキボリをくらったらしい。さっき会社で会った連中を捜すが見当たらない。会社に戻って、顔見知りの連中に、どういうことなのか聞いてみようと思った。

離婚 #82

朝、出勤時間がきて、ズボンが見当たらない。近くのローソンに買いに行ったが、きのうのズボンをはけばいいことに気付いて家に戻った。ワイシャツはどうする。上着はどこだ。妻はなにをしている。まったく無関心だ。妻は広末涼子になっている。器量に文句はないが、なんの仕度もしてくれない。離婚だ。今度という今度は本当にキレた。なにしてんのよ、バタバタして、と妻が言った。遠くへ行くよ、と私が言った。もう遅刻だ。電車に乗って飛行機✈に乗って遠くへ行こう。

居酒屋で久しぶりの会社の会食会。店内には
程よくラップが流れていた。隣に気に入っていた女の子👧が座った。私は、一月十日付けで会社を辞めるんだ、と女の子に打ち明けた。急ね、どうして、と女の子が言った。この会社のいろんなところが、気にくわないから、と私。この会社はいつもそうなのよ、と女の子。斜め向いにいた部長が、君は感謝の気持を忘れているんだ、と言った。それで、やっていけるの、と女の子。大丈夫さ、金だけはあるから、と私。女の子は声を上げて笑った。(お金ってどこにあるんだろう?)

家の電話が鳴って、出てみると、男の声がする。お父さんと代わって下さいと言っている。
保留にして母に聞いてみる。母が直接電話に出た。電話の男は午後にウチに来るという。なんの目的か分からない。父は出張中で不在だ。ボクは学校に行かなければならない。不倫だろうかと母をからかってみる。母は、そんなことがあるはずはないと理屈っぽく語った。母の白髪のふえた髪やシワだらけの顔を見て、もっともだと納得した。

胡麻せんべい #81

家の近くで兄の幼馴染のキムタクとその相棒に会った。家に招こうと思った。昼飯は食ったかと聞くと、まだ食べてないという。昼飯はないけど茶くらい出すよと言うと、二人はついてきた。妻がキムタクから、やはり兄の幼馴染で近所に住んでいるサタ君のオヤジが首をつった話しを聞いたと言った。 まさか、あのサタ君のオヤジさんが、信じられないと思う。二人はすぐに帰らないで、家の中の片付けや掃除を始めた。女中を雇ったばかりなのだが、キッチンでキムタクは女中と一緒に働き出した。この家に居つくつもりかと思った。

おとうさん、リンゴジュース取ってきてと隣で寝ている妻が言った。目を開くと、Hがいて、じっと私を見つめている。マバタキのない異様な目付き。妻は大丈夫か、喉でも掻き切られてないかと見てみる。リンゴジュース持って来て、とまた言ったから無事のようだった。Hはじっと私を見つめたままだ。いつか動物園で見たことのある虎の目だった。

会社にせんべい屋の息子がいた。彼はたまに一斗缶に入ったじぶんちのせんべいを持って来てみんなに振る舞った。彼は若禿で、頭の中央だけ髪が異常に薄く、両脇だけに髪が豊富で、いつも武士がチョンマゲを落としたような感じだった。彼は次男だったので家業を継ぐことが出来ず、しがないサラリーマンに甘んじていて、なんとなく落武者のような雰囲気が漂っていたが、彼の持って来る出来たての胡麻せんべいは、なかなかのものだった。

クリーム色のコートの女 #80

大きな台風が来て、夜通し風や雨の音が激しかったが、明け方には去って行った。屋上を見に行くと水が溜まっていた。排水口がふさがってしまうのだ。排水口をシャベルでつついて水はけをよくした。物干し竿などが散乱している中で、見慣れないミカン箱くらいの木の小箱を見つけた。蓋を開けたら、ドル札💰がぎっしりつまっていた。台風が大きなプレゼントをもたらしたらしい。小箱を抱えて階下へ行った。紙幣はほとんど濡れていたので、家の中の日当りのいい目立たない所にドル札を並べて、陽が差すのを待った。ウィル君にも分けてあげよう。

母に手伝ってもらいながら、二階の部屋の配置がえをしていた。部屋のスミにあった洋服タンスをどけてみて驚いた。タンスがおおっていた窓の向こうに広々とした海が広がっていた。今までこんなに景色のよいところだったとは気付かなかった。窓辺にぶらさがっている洋服かけや下着干しなどを取り除いてみた。窓辺がいろんな物でおおわれていて外の風景に気付かなかった。この時期はこの辺でアオリイカが釣れる。スルメイカヤリイカやアカイカも回遊してくる。

文通かメール交換をしていたW孃と初めてサテンで会った。店は混んでいて、通路際の二人席に向かい合って座った。私の左隣の四人席に一人で座っていた若い女性が、私の胸ポケットに挟んでいたボールペンかストロー に興味を持ったらしくて話しかけてきた。私はそのボールペンを女に見せようとして顔が合った。ワリと可愛いと思った。W孃とたくさん話したいことがあったが、その女のおかげで話しづらい状況になっていた。その女は座席に横になった。クリーム色のコートを着ていた。家に帰って寝た方がいいよ、と私が言った。ロクゴウカイに行くわ、と女が言った。ロクゴウカイってヤクザの組織らしかった。この純良そうな子にそんな所へ行って欲しくないような気がした。私はW孃と苦笑し合った。通路を数人の年配の男達が通りすぎ際に女に声をかけ、話し込むふうだった。ヤクザ 風の男達だった。マズイなと思った。

八丈島 #79

家の裏山の森の樹木の間の細道を歩いていると、木からなにかが落ちてきて私の右手首に絡みついた。蛇かと思ってギョッとしたが、蛾かなにかの幼虫のようだ。褐色で足がたくさん生えていて体表はつるりんとしている。腕を振って落とそうとしてもブレスレットのように絡んで放れない。左手ではとてもさわれそうにないので、幼虫を木々に叩きつけるようにして手首を木々に打ちつけた。幼虫はグンニャリしてなかなかしぶとい。ゴムのように弾力があって潰れない。何度も打撃を加えてやっと放れたが、幼虫にはダメージがまったくないようだった。

イラン人が遠くを指差して何か叫んでいる。もとより言葉は分からない。そっちの方を見ると茶色の土煙のようなものが空をおおうようにしてコチラに迫ってきているようだった。イラン人達が巨大な土埃がやって来るから家の中にこもって窓や戸を決して開けないようにとほとんどジェスチャーで言った。大砂塵らしい。まもなく辺りは夜のように暗くなった。私達は地震でも起きたかのようにテーブルの下などに身を隠した。数十分もすると、辺りは次第に明るくなって、天井のあちこちから雨漏りのように土埃が筋になって落ちていた。

朝早く、八丈島を歩いている。丸い竹カゴに入れられて崖から海へと蹴落とされる罪人。島抜けした罪人があちこちで射殺される。飢饉の時には殺されなくても飢えで死んでいく、イモの栽培が持ち込まれるまでは。
今日は母が本土からやって来る。魚市場へ行くと、獲れたての海老がぴょんぴょん跳ねていた。海老料理で母をもてなそう。だけど余分な茶碗がない。外食の方が面倒がなくてよさそうだ。海辺に何軒かおいしい魚料理屋がある。クサヤを食べながら島焼酎を飲もう。島の温泉にも母を連れていこう。

お笑い人形 #78

ボクらは釣り船に乗ってルアーを投げていた。舳先から海のうねりを見て嫌な予感がした。うねりの先に黒くて巨大なゴジラが現れて船が沈没しそうになった。そこへ大きなお笑い人形が現れた。「お笑い人形、たすけてくれ!」とボクらは必死で叫ぶと、お笑い人形はこちらを向いてフニャッと笑った。キティちゃんのような顔だ。ゴジラはワラカサレナイヨウ、口から火を噴いた。お笑い人形は燃えない素材で作られている。ゴジラはウシシと笑いながらお笑い人形に背を向けて海底に沈んでいった。お笑い人形はアメリカにスカウトされるかもしれない。

ヘルメットをかぶり背に命綱のようなケーブルをつけ、ジェットコースターが下降するように下へと飛んでいた。これから何かを救いにいくような気分だ。着いた所は熔鉱炉のある作業場のようだった。放射性物質の廃棄をする作業らしい。現場監督のKがいて、今日は同僚のT孃はボクシングの試合のため休みだと言った。熔鉱炉では溶けていく放射性物質があやしい光を点滅させていた。放射能で死ぬかもしれない。どうせそのうち何かで死ぬのだから、まあいいやと思った。

その家には子猫とその親猫が棲んでいた。親猫はしばらく姿を消していた。そこへ新たに迷い子猫が入ってきた。最初は前からいる子猫と迷い子猫は普通にじゃれあっているように見えた。そのうち前子猫が迷い子猫の首もとをシツコク噛んだり舐めたりしている。私は、前子猫が迷い子猫を食おうとしていることに気づいた。慌てて二匹を引き離し、前子猫を外に追い出し、庭でまだこちらを伺っている子猫をホウキで追い払った。親猫が居なくなったのも、あの子猫が食ってしまったような気がした。
家の中に戻ると、迷い子猫は水の入ったポリバケツの中で溺れかけていた。まだ息があるようだったので、子猫をつかみ出してタオルでくるんだ。近くにいたカアサンに新しいタオルと消毒液を持ってくるように頼んだが、なかなか持ってきてくれない。なにもしてくれないんだな、とカアサンに文句を言った。迷い子猫の手当をしてゴハンをあげよう。子猫は安心したように体を私に寄せてくる。この子猫となら仲良しになれそうな気がした。