夢の細道

夢日記

釣り日記ではない 7

釣り道具を持って海辺の道路を歩いていた。道路と平行に横たわる地磯の左端に石鯛釣り師が2本の竿を海に向かって固定している姿があった。そこへ私も行こうと思ったが、そこまではテトラやごつごつした大きな岩が入り組んでいて、怖くて足がすくんだ。諦めて地磯をにらみながら道路を前へ進んだ。干潮で潮で濡れた黒々とした地磯がとぎれとぎれに海から顔をさらしていた。その磯で短パンのアンチャンが網を振り回して何かを採っているのが見えた。片手に海水の入ったビニール袋をもっていた。道路脇の岩場からアンチャンのいる磯場まで浅い入江になっていて、干潮時にはその地磯まで歩いて渡れるのだなと思った。私はアンチャンのいる地磯目指して海水にさらされている低い岩場に足を踏み入れた。スパイク長靴を履いていたので濡れずに渡れた。それから足場の安定した場所を見つけてメジナ用のマキエをまいて竿を出してみた。すぐに強いあたりと絞り込みがあって、竿を上げると釣針がなくなっていた。針の外れにくいネムリ針に変え瞬間接着剤で補強し、磯に這うように生えている緑の海藻を針に付けて波の向こうに放りこんだ。すぐにウキがゆっくり沈み、合わせると強烈な引き込み。魚を疲れさせてから浮かせると、特大ブダイが姿を現した。タモですくい上げて潮だまりでエラにナイフを刺して血抜きした。その後もすぐに竿が絞り込まれて特大ブダイが顔を出した。ここはブダイの巣のようだった。立て続けに3尾釣って釣りをやめた。黒鯛やメジナもいそうな雰囲気。私は生涯の釣り場を見つけた気がした。帰ることにした。3尾のブダイを入れた保冷バッグもかなり重かった。道具をたたんで潮の満ちてきた浅場で足を踏み外して胸まで海水に浸かった。万事休す。ブダイと一緒に地獄行きか。夢なら目が覚めるだけでいい。浦島太郎は土左衛門の悲しい夢想か。なんとか這い上がって日なたで衣類を乾かした。死にたくなければ、スパイクウェイダーやライフジャケットは必須な所だ。