漁港の近くに魚屋を見つけた。鮮度の良さそうな魚があったので家の土産に買っていくことにした。魚屋の若い旦那が刺身用にさばいてくれた。大きな鯖もオマケで安くしてくれると言うのでついでに買うことにした。大きなまな板の上にサワラのような大鯖がのさばっていた。彼の友人が北の方で釣ってきたものだという。店頭に高校生が見学していたが愛想のいい若旦那が冷たく追っ払ったので意外な気がした。旦那が鯖に包丁を入れているうちに鮮度が良くないような気がした。100円だったから文句は言えまい。1000円出したら、ツリがないという。1000円でも別にいいじゃないかと旦那が言うので私もなんとなく妥協した。僕は毎週この近くの堤防に釣りの練習に来てるんですと私が言った。何が釣れるんだいと旦那が言った。特に釣れる魚はなかった。釣れなくても定期的に練習しておかないと、いざ、いい釣り場に行った時に釣りにならないんですと私が言った。若旦那は魚を売ってしまってからは私に無関心になって他の従業員と仕事の話を始めた。そこで私は残り物の魚をテイヨク買わされてしまったような気がした。