夢の細道

夢日記

カフカ

私は敵の要人を警護する仕事をしていた。私がガードしていた男が銃で肩を撃たれた。私は急いで安全な車輌に撃たれた男を乗せた。男を撃ったのは私の仲間だった。私はこの国の人々にとって敵なのか味方なのか複雑な気持になった。 

 

そのバーで月一度の読書会が行われていた。私はカウンター席の端に座ってハイボールを飲んでいた。グラスの脇にその日の課題の文庫本を置いていた。そこに外人の男が現れてなんの本を読んでるんですかと尋ねられた。昭和の抒情的小説ですと私が言った。すると外人は自分はカフカが大好きですと言った。今でも海外ではカフカは人気があるんだなと私が言うと二つ席向こうの物知り顔の女が皮肉っぽく笑った。カフカ好きの友人のK君がいたらこの外人と話が弾んだろうなと思った。さっき笑った物知り顔の女がカフカもそうだけど今でもサルトルボーヴォワールを読む人達がまだいるみたいね。ありゃ幸せな時代の遺物にしか過ぎないのよ。もちろん当時は戦争やなんかあったけど、今ほどすさんではいなかった。私達はもう人間でなくなろうとしている。滅亡の風景が見えているのよ。文学なんかオワライ以下でしょー、と言った。この女性はなんで読書会に来たんだろうと思った。

ソラリスの海

明け方、ふと、むっかーし見たロシアの古いSF映画惑星ソラリス」を思い出していた。というのも、この日の夢は、彼の結婚式だったからだ。彼は自殺していたのだが、夢の中では彼はいつも生きている。彼の結婚相手は登場してくれなかった。彼は生涯独身だった。ソラリスの上空を旋回していた宇宙ステーションの中で、主人公の眼前に自殺した妻が現れる。驚いた彼は妻を船外に放出したりするが、妻は何度も現れて彼を脅かす。最後は、死んだ妻と和解したのか、幻像を送ってくるソラリスの海の真の意図を理解したのかどうか忘れてしまった。夢の中ではクセモノを夢から追い出せないし、夢をコントロールできる人はほとんどいないだろう。ソラリスの海は夢の製造元と似ていると思ったのだ。私たちはソラリスの海から毎晩夢を受信しているのか。彼が私になんらかの遺恨を持っていて、その遺恨をソラリスの海から私に飽きずに送っているのだろうか。彼がいることのできなかったコノ世に私がい続ける限り。それとも。

釣り日記ではない 2

その小島にフェリーが頻繁に行き来していた。私はその小島の堤防で釣りをしていた。狙いは30センチオーバーのメジナだったが、釣れてくるのはちっちゃなタカベばかりだった。通りすがりの女が海をのぞきながらイカがいると言った。イカはタカベが大好きなんだ、と私が言った。女が、タカベを食べたい、と私に言った。私は海を見ながら笑った。女はフェリーで帰った。私の隣に手練れの釣り師が入った。すぐに7メートルオーバーの黒々としたクジラを釣り上げた。見物人たちが寄ってきた。私はレベルの違いをまざまざと見せつけられた気がしてガックリときて、釣り道具をたたんでフェリーで帰ったが、釣りたての新鮮なクジラを食べるせっかくのチャンスを逃してしまったことを悔やんだ。ちっちゃなタカベの唐揚げを食べながら冷たいビールを飲んだ。

進化

私は宴会の準備係になっていた。シェフと料理の打ち合わせをした。サラダにはコールスローに巨大なドバミミズと小ミミズを添えるという。誰がこんなもん食うんだろうと思いながら小鉢に2種類のミミズを盛り合わせていった。ところが宴会が始まると苦情はひとつもなかった。生きたドバミミズは彼らの大好物のようだった。彼らをよく見てみるとタイガーと呼ばれているトラウト君やニジマス君たちだった。きのう見た釣り番組の影響らしい。どうやら彼らは陸に上がって進化を果たしたらしい。私はかねてより人類滅亡後はウサギ族が進化すると思っていた。ウサギはとても優しいし人間のように共食いしない。ニンジン畑だけで平和に暮らせる種族だ。

文学部哲学科

某大学の哲学科に入学した。入学式の日に中庭でうろうろしていたら、大学の先生が話しかけてきた。勉強会を開いているという。入会金が15万2千円だという。この教授についていけば、やがて私も教授になれるかもしれない。両親に相談して、お金を工面してもらおう。

釣り日記ではない

顔の近くにイグアナがいて、私を咬もうとしていて、びっくりした。 

 

ウチの近くに池があって、そこは魚のいない池でもあった。そこにオッサン連中が来て、魚釣りを始めた。ろくなもん釣れないのにバッカみたいと思ってたら、オッサンの一人が竿を曲げて、ビニール袋に大きな魚を入れた。びっくりした。そばに駆けつけて、なんという魚ですか、と聞くと、「ウシ」と言った。網走の方の方言のようだ。ブリだろうかと家に戻って図鑑で調べてみた。イナダのようだが、淡水だからイトウかもしれない。

桜ではない花

まだ若い妻と小さな息子と三浦半島のどこかの海辺を訪れている。堤防のような平坦な岩場が続いていて、手前は水深が浅そうだが沖目に釣り仕掛けを投げれば何か釣れそうだと息子が言ったか私が思ったか同時だったか。次には両脇に店が並んだ道路を歩いている。たくさんの人が行き交っていてヘキエキしてきた。前方を妻たちが歩いている。私は少しイラついてきてキビスをかえした。そしてその通りの飲食店に入ってご飯を食べた。妻たちが私を捜してこの店に来るかもしれないと思った。会計を済まして店を出ても妻たちは来なかった。離婚するかもと思った。そうなってもまあいいやとも思った。途中、桜が満開になっていた。とてもキレイなので家族に教えたいと思ったかもしれない。よく見ると花びらが桜よりずっと大きくて桜🌸ではないような気がした。