家の縁側の前が道路になっていて、白い子犬を連れた少女が通っていく。生まれて間もない子犬は可愛く、子犬を連れて散歩している少女はさらに可愛らしかった。少女が、見ている私に気付いたので、私は、だらしなく笑いながら、こんにちわ、と会釈した。少女も頷いて通り過ぎていった。
少しして、折り返しに、また少女と子犬が家の前の道を、さっきとは逆方向に歩いている。すると子犬が縁側にあがりこんできて、畳の上に腰をおとして小便をした。
「すみませーん。大丈夫ですか。」と、少女がすまなそうに言った。私は頬をゆるませたまま、いいの、いいの、と言って、ティッシューで小便をぬぐった。小便で濡れたティッシュをトイレに流して、妻を呼んだ。
エレベーター #29
エレベーターのドアが開いて、何人か一緒に乗った中の1人のオバサンが手元のボタンを押したら、天井の中央からシャワーが噴き出した。「どこおしてんねん。」「止めてくれ、アホンダラ。」と非難ゴウゴウ。私はとっさに行先の3Fのボタンを押したら、水が止まった。
「すみませーん。」とオバサンは平謝りだが、みんなびしょ濡れになっている。まったく迷惑な話だが、このエレベーターにシャワーの機能があるなんて知らなかったから、腹立たしい反面、誰もいない時に何回かシャワーを試してみようと、遊び心がわいていた。
ラーメン屋 #28
ラーメン屋になっている。店は繁盛しているようだ。客がどんどん入ってくる。私は1人で対応していたが、たまらず、誰か手伝って下さい、と叫んだら、老人が1人調理場に入ってきた。さあ、カラの丼を棚から5まい出してえ、と老人に言ったが、老人はうろうろしているばかりだ。待ってられないから自分で丼を並べた。茹でた麺を丼に配分して野菜やチャーシューをのっけた。5杯作って客にだし、また5杯作る。忙しくて手もとが狂ってくる。麺や野菜が5杯分かたまってしまう。それを手でほぐして丼に配分する。冷めてしまいそう。スッチャカメッチャカだが、まだ客から文句はでていない。かなり焦っている。チャーシューがなくなって、卵焼きにかえた。