夢の細道

夢日記

四つめ駅はどこだ

 ヘルソンはどうなってしまうんだ。   

                  

 安宿を出て小さな駅に着いた。その小さな駅は何という名か分からない。そこから電車に乗って何駅で降りればいいか分からない。行き先が書かれたチラシを開いてみると、四つめ駅とあった。それがこの駅の名前か、これから行く目的地の駅名か分からない。通りすがりの小太りのネエチャンに、ここは四つめ駅ですか、と尋ねてみた。ネエチャンは怪訝そうに、なにも答えずに行っちゃった。同じ宿に泊まっていた仲間の姿を捜したが見当たらない。そのうち、作業着を持ってきてないことに気付いた。これじゃあ目的地に着いても仕事になんなーい。無断欠勤はよくないから、先方に連絡しなくっちゃ。スマホを取り出している内に、目が覚めてきて、何処へも連絡しなくていいことに気付いた。 

   

定番夢

 クリミア橋が炎上した。

 同じような夢を見ることがある。状況、設定、風景、登場人物などが、いろいろ異なっていても、道に迷ってさまよい、結局、目的地には永遠に着きそうもなくて、目覚めて安堵するというパターンだが、この日の夜の夢は、さんざん迷い歩いたあげくの果てに、崖下に崩れ落ちそうな家屋の屋根上に迷い出て谷底に滑り落ちそうになり絶体絶命、絶望の極みで、ふと上を見上げると、狭い踊り場のような所に女の人が立っているのに気付いた。助けを求めて叫んだか念じたかすると、女の人は私の方に手を差し伸ばしてくれて、私は必死に急斜面をよじ登り手を伸ばして女の人の手をつかもうとした。すべてをその女の人にゆだねようと思った。この女の人といっしょなら安全に生きていけそうな気がした。そして、女の人の手に触れようとした直前に夢は終わってしまった。

新規開店のラーメン屋

私は学生らしかった。教室で古代ローマかエジプトの解説書らしい本を開いていた。古代遺跡の図面などが載っていたようだ。隣の女子学生が、新しいラーメン店が近所にオープンしたと呟いた。私は彼女を誘うチャンスだと思って彼女の容姿を目測した。ショートカットのうなじに異性の感じは乏しく、誘うのはやめた。次に新規開店になったというラーメン店🍜に一人で入った。客が一人しかいなくて、評判が悪いんだろうかと思った。注文しようと壁紙やメニュー表をみるが、値段が隠れていて読みとれない。店は混んできて早く注文しようと焦ってきた。ラーメンと餃子なら無難だろうと、カウンターの向こうに忙しそうに現れたオカミにオーダーした。店はいつの間にか満席になっていた。新人らしい中高年のオバチャンもいて、注文取りが不慣れのため、うまくできそうにないとオカミに弱音を吐いていた。店にはオバチャンのダンナと思われる年寄りのオジサンもいて、未経験者らしく、こちらもオドオドしたりニヤニヤしたりしてメニューを運んだりテーブルを拭いたりしていた。

黒人の女

私は黒人の女になっていた。黒人の彼といっしょに海に入って泳いだ。よく晴れた日だ。気持よく泳ぎながら、私は鳥になりたい、と言った。そして自分の曲を口ずさみながら泳いだ。ラーラーラーと緩やかに波のように歌った。彼は私に作曲の才能があることを理解したようだった。

場末の映画館

場末の小さな映画館の窓口で若い女の館員から入場券を買って、中に入った。入場券は電車の切符のようだった。私は入場券を手にしながら、しばらく窓口の前でもじもじしていて、ふいに切符を買ったことに気付いて中に入った。映画は、小さな謎の物体が徐々に大きくなっていって地球を困らしていくといった内容だった。そいつは木の根っこのような、ヒトデとナマコを合体させたような形でうごめいていた。映画を観る前に小便をしたくなってトイレを捜した。トイレ🚻マークのドアを開けると、そこは休憩室のようになっていて数人の男たちが粗末なテーブルにくつろいでいた。さらに奥にトイレのドアが見えた。ドアの手前の空席にカバンを置いてトイレの中に入ったら小さなブルドックが着いてきた。白と黒のブチでツルツル肌の子犬だ。飼い主が心配するだろうからとドアを開けてブルをトイレの外に出した。用を済ましてトイレを出ると、テーブルの上に置いていたカバンがなくなっていた。席にはこわおもての若いアンチャンが座っていた。ここに置いてたカバン知りませんかと弱腰になって聞いてみた。そんなもんなかったよとアンチャンが言った。アンチャンが来る前に誰かに盗まれたのだ。カバンの中には大したものはないものの、なにかしらいつも書き付けていた日記のようなノートが入っていたらしい。私は困って途方に暮れてしまった。

たたき売り #90

 また暇になってきた。

 マリウポリが陥落した。

 道端でたたき売りのバイトをしている。寅さん映画の見すぎだろうか。隣に同僚のおっさんがいて同じような商売をしている。今日も売上は芳しくない。夕方、私は店をたたんで、帰り際に、隣のおっさんが哀れになって、千円札をあげた。内心、五百円にしておけばよかったと後悔した。おっさんは、案の定、いらない、と千円札をかえしてよこした。私は内心ホッとした。おっさんは、一日で三千万円儲けたことがある、と言った。えっ、そいつは意外だ。ナニ売ったんですか、と聞いてみた。電化製品だろうか。答えを聞かないうちに夢は終わった。

 会社の帰り道、知らない女が話しかけてきた。美人でないし貧相な感じだが、一緒に歩いているうちに、手に触れ、握ってしまうと、女は拒否しない。だんだん大胆になって、肩に手を回したり、脇の下から手を入れて乳首を揉んだりした。それで駅近くのホテルに入ろうということになった。女は素足に下駄履きで、途中、転びそうになったが怪我はなかった。足の内部が少し悪いらしい。めぼしいホテルを探し当て建物の中に入ると、いくら持っているかと私に聞いた。一万二千円と答えた。女は足りない分のお金を持ってくると言って階段を駆け上がって行った。フロントで待っていると、胡散臭い連中に絡まれそうになったが、胡散臭さでは私は彼らに劣るものではなかった。女はなかなか戻ってこない。帰りは遅くなりそうで、妻にはなんと言い訳しよう。そのうち、女にすっぽかされたことに気づいて帰ることにした。

 老練なベテラン釣り師に同行した。モーター付きの小舟で沖に出てエンジンを止め、老人は海原に餌を撒いた。その餌を求めてクエが海底から浮上してきて、鯉が餌を食べるみたいに口をパクパクさせた。老釣り師は、そのクエの口にいとも簡単に手に持った大きな釣り針を引っかけて大きなクエを釣り上げていった。手首のヒネリ方にコツがあるらしい。あっという間に七匹も釣り上げてしまった。深場にいるクエが面白いように集まってくる強力な餌だ。今晩はクエ鍋で酒が飲める。この釣りに関して、何故か、全米釣り協会が
苦情を表明しているという。