明け方、ふと、むっかーし見たロシアの古いSF映画「惑星ソラリス」を思い出していた。というのも、この日の夢は、彼の結婚式だったからだ。彼は自殺していたのだが、夢の中では彼はいつも生きている。彼の結婚相手は登場してくれなかった。彼は生涯独身だった。ソラリスの上空を旋回していた宇宙ステーションの中で、主人公の眼前に自殺した妻が現れる。驚いた彼は妻を船外に放出したりするが、妻は何度も現れて彼を脅かす。最後は、死んだ妻と和解したのか、幻像を送ってくるソラリスの海の真の意図を理解したのかどうか忘れてしまった。夢の中ではクセモノを夢から追い出せないし、夢をコントロールできる人はほとんどいないだろう。ソラリスの海は夢の製造元と似ていると思ったのだ。私たちはソラリスの海から毎晩夢を受信しているのか。彼が私になんらかの遺恨を持っていて、その遺恨をソラリスの海から私に飽きずに送っているのだろうか。彼がいることのできなかったコノ世に私がい続ける限り。それとも。
釣り日記ではない 2
その小島にフェリーが頻繁に行き来していた。私はその小島の堤防で釣りをしていた。狙いは30センチオーバーのメジナだったが、釣れてくるのはちっちゃなタカベばかりだった。通りすがりの女が海をのぞきながらイカがいると言った。イカはタカベが大好きなんだ、と私が言った。女が、タカベを食べたい、と私に言った。私は海を見ながら笑った。女はフェリーで帰った。私の隣に手練れの釣り師が入った。すぐに7メートルオーバーの黒々としたクジラを釣り上げた。見物人たちが寄ってきた。私はレベルの違いをまざまざと見せつけられた気がしてガックリときて、釣り道具をたたんでフェリーで帰ったが、釣りたての新鮮なクジラを食べるせっかくのチャンスを逃してしまったことを悔やんだ。ちっちゃなタカベの唐揚げを食べながら冷たいビールを飲んだ。
桜ではない花
まだ若い妻と小さな息子と三浦半島のどこかの海辺を訪れている。堤防のような平坦な岩場が続いていて、手前は水深が浅そうだが沖目に釣り仕掛けを投げれば何か釣れそうだと息子が言ったか私が思ったか同時だったか。次には両脇に店が並んだ道路を歩いている。たくさんの人が行き交っていてヘキエキしてきた。前方を妻たちが歩いている。私は少しイラついてきてキビスをかえした。そしてその通りの飲食店に入ってご飯を食べた。妻たちが私を捜してこの店に来るかもしれないと思った。会計を済まして店を出ても妻たちは来なかった。離婚するかもと思った。そうなってもまあいいやとも思った。途中、桜が満開になっていた。とてもキレイなので家族に教えたいと思ったかもしれない。よく見ると花びらが桜よりずっと大きくて桜🌸ではないような気がした。
っていうか
ウクライナは寒いだろうな。ウチは寒くない。でも、なんとなく死にそうだ。
今日は何日ですか、と相手に聞いてみた。32日です、と相手が言った。そんなバカな。いくらなんでも31日が限界でしょ。2月だからと相手が言った。そうか2月ならその年によって、うるう年とかあるからと妙に納得した。
相手は金髪の小太りの女だった。線香の束のような金髪の束を口をとがらして鼻の下に挟もうとしたが、なにかしら不具合そうだった。
2月ともなれば、また自殺した彼が人間界の物理法則を無視して、挨拶に来るんだろうな。俺を忘れるなっていう感じ。彼の墓のある実家はとても遠くて、そう簡単にお参りには行けない。っていうか・・・。